クオリティ検証|ネック内重量|Quality|精密鍛造|GRAIN FLOW FORGED|ミズノ|mizuno|ゴルフ|メルサオンラインショップ




メルサオンラインショップもお陰様で全国へ数多くのカスタムクラブを発送してきました。もちろん、インターネットという環境の中で実際にお会い出来ない地理的条件がありますのでほとんどの方は、メールや電話でのやり取りがほとんどです。
ある日、1本の電話が鳴りました。
(N様)「只今、都内を走っています。もう2・3時間したらそちらに到着出来ると思いますので是非、アイアンを注文しに行きます…。
(長屋)「…。えっどちらからおいでですか?」
(N様)「千葉県からです」
到着して…(N様)「注文したMP-62アイアンなんですが…ヘッド内に鉛その他の重量物を一切入れないで製造をお願いしたいのですが出来ますか?これがお願いしたくて来ました…」
(長屋)「ヘッド内バランス調整を一切しないという条件ですね」
(N様)「そうです。偉そうかもしれませんがクラブに対して疑いたくないんです。ヘッド内に重量が入っているかもしれないからフックするとか、真っ直ぐ行かないとか…そのような理由づけをクラブに対して考えたくないんです。」「腕が悪いのは分かっているんですが自分で完璧だと思えるクラブだと腕を疑うしかないでしょう?(笑)」
(長屋)「なるほど…。確かにその通りですね。でも限界値があります。その理由は…」(理由についてはこのコラムで説明していきます)
上記のやり取りは非常に大切なことだと私は感じ、そして同時にに感動もしました。N様は、「このようなことがお願い出来るのはココしかないと思ったので…」←(T_T)
私は、このような要望に応えることも弊社オンラインショップの義務だと感じましたが調べる上で限界点もあることがわかりました。そしてこのやり取りを通してMPアイアンの実際の品質に関してのコラムを作ることが弊社オンラインショップの義だと感じたことが始まりになったのです。


【その1】
2009年から廃盤になりましたMP-30の試打クラブを分解してみようと思います。実際にシャフトの中には何か重量物が入っているのでしょうか?個人的には「何も入っていて欲しくない」と思っています。ミズノ製鍛造アイアンには、確かに昔から「重量調整していない!」とか「ミズノは品質が優れている」とか色々な意見がありますよね!そのようなことが「真実であって欲しい」と願いながら分解してみます。今回は、スチールシャフトのヘッドを抜く作業は、本来バーナーでネック部分を熱してヘッドを抜きますが今回は、中の内容物をバーナーの熱で溶かしたくないので“ヒートガン”で序々に熱して抜こうと思っています。
【その2】
序々にヘッドが抜けてきました…。ココからは、シャフトを綺麗にしたりヘッド内のゴミを取ったりして次のシャフトを入れる準備をするところですが今回のケースは全く違う“検証”なのでありのままの画像をお見せしようと思います。もう十分にヘッドが抜けたと思うので次の画像へ…
【その3】
シャフトの中身を拝見…。「なんでしょう?接着剤にしては多いぞ!…。でも、何かの重量帯ではなさそうだ!接着剤なのかな?接着剤であればかなりの量を使っているみたいだ…。シャフト全体が真っ黒い状態だ!」この正体については後ほど…。
【その4】
ヘッドの中身を拝見!「何も入っていないようです…。」やはりミズノは、ヘッド内重量調整していないようですね。一本では検証にならないのであるお客様のリシャフト時の中身を検証してみようと思います。
この画像は、お客様のリシャフト時の先端部の画像です。ヘッドは、MP-32。シャフトはダイナミックゴールドR400のシャフトです。「何やら白い物体が見えますね!7本中3本は白い物体が見えます!残りの3本は、明らかに接着剤のみのように見えますが残り1本はとても綺麗なシャフトです。この白い物体は何でしょうか?明らかに接着剤ではありません!」この物体の正体を聞きにいつも好意にしているミズノテクニクスのカスタム課○○さん(以下M氏)に電話して見ました。(長屋)「もしもし、○○さんですか?シャフトを抜いた時に出てきたシャフト先端部の白い物体は何ですか?」(M氏)「それは、バランスですね!」(長屋)「えっやっぱりバランスが入っているんですか?」(M氏)「それは入っていますよ」(長屋)「…。ミズノのアイアンはバランスが入っていないと思っていました…。」(M氏)「ミズノのヘッドが仮に完璧でもその他の部品に問題があることが多いですね!だからミズノでは0.5g単位のバランスを用意しています。」(長屋)「ではその0.5gのバランスを送ってください…。」


国産A社 国産B社 国産C社 海外A社
国内有名メーカーのA社のシャフト内。おもりは入っていますね! 国内有名メーカーB社。こちらも入っています。 C社も鉛が入っています。 海外A社は、鉛の塊が入っています。
ミズノ以外のメーカーは、かなり目立っておもりが入っています。入っていることが当たり前のようです。それに比べてミズノは金属性のおもりは見当たらなかったようですが…。特に海外A社のシャフト内は、かなり多くの鉛を発見しました。やはりあまり多くの鉛を入れられると“重心距離”や“重心の高さ”それに“打球感”に影響が出できそうです。シャフトがしなる量もヘッド重量が増すと大きくなってしまいますね!


ミズノから送られてきた物は左図のようなものです。黄色の袋に入っている中身はそれぞれおもりが入っているようです。撮影用にひとつでよかったのに10個ずつ送ってきました(笑)「こんなにいらないのに…。」なんでも「在庫管理していて10個単位でしか発送出来ない」とのこと…。「あっそうですか…」って感じですね!早速中身を検証してみましょう!
中身を左から軽い順番に並べてみました!通常大きい物が一番重いような気がしますが素材を変えて重くしているみたいです。一番大きい物が一番重いとは限りません。今回は、MPアイアン用に通常使われている〜3gまでのおもりを取り寄せました。ミズノ社内規定でMPアイアンは、〜3gまでのおもりの使用が認められているそうですがその他JPXなどは3g〜を超えるおもりを入れることもあるそうです。左から順番に0.5g、1.0g、1.5g、2.0g、2.5g、3.0gのおもりになります。おもりは〜7.5gまで0.5g刻みであるらしく今回のご紹介のおもりは〜3.0gまでのものに限ります。〜3.0gまでのおもりはMPアイアンに使用を想定していますが私は、MPアイアンに銀色のおもりが入っているのを見たことがありません。黒いおもりは分解したMP-30に入っていた物体のようですね。これは、樹脂製のおもりです。下画像はそれぞれのおもりの特徴になります。ご覧下さい。

【0.5g】

【1.0g】

【1.5g】
材質は樹脂製にて製造されています。金属で製造しなかった理由としてシャフト内での異音防止の為にシャフト径に合わせて製造したことが理由なようです。 1.0gを樹脂製で製造するとこのくらい大きくなります。サンプルの10円の高さよりも大きいくらいです。これは“黒い”ですが“白い”もので製造することもあるそうです。 材質はアルミにて製造されています。樹脂製よりも小さく出来るのが特徴ですね。

【2.0g】

【2.5g】

【3.0g】
2.0gもアルミ製で製造されています。高さがかなり高いものになります。 これはかなり大きいものです。本当にこんなのがシャフト内に入っているのでしょうか?? 2.5gよりも小さいですが材質を変えて重くしています。“鉄”みたいな感じですが実際の材質は聞いていません。最終的に材質は“タングステン”まで変化するそうです。
本当にキッチリ0.1g単位で製造されているのか…
ここで少し疑問が沸いてきました。この樹脂製や金属製の物体は本当に“キッチリ”0.1g単位で製造されているのか…。弊社の電子計りは0.1g単位で計測出来るので計ってみた結果が下記の通りです。
“疑い”は晴れました…。 もう1回チャレンジ…。失礼しましたm(__)m 10円は4.5gだったのですね…(^^ゞ


樹脂製の重量物と金属製の重量物をシャフト内に挿入してみました。。ご覧の通り共にシャフト内径と同じ円形ではありません。ヘッド取り付け時に空気を逃がしてスムーズに装着する為の知恵だと思われます。このようにしないとヘッド内の空気の逃げ道がなくヘッドが浮き上がってしまいますから…。
ミズノは、通常の修理工房と違う工程を踏んでクラブを組立てているようですね。我々ショップは、まずヘッドをシャフトを取り付けてからシャフトを切断してグリップを取り付けますがミズノは、シャフトの長さを決めてからグリップを装着してヘッドを取り付けるようです。その為に最後の工程のヘッドバランスの調整をこのようにシャフト内で調整しています。この理由は、恐らく工業製品としての工程をより早める為だと思われます。
ミズノテクニクス(工場)に見学に行った時に電光掲示板に“只今○○本”とか“一日目標○○本”とかいう張り紙を目にしました。いくらハンドメイドに近いカスタムオーダーでもメルサ1社だけの為に動いているのではないので1分1秒でも早く仕上げることを考えての製造工程を日夜研究していることだと思います。


シャフト内重量物の必要な理由がいくつかあります。その理由ごとに説明していきます。

下の画像はそれぞれのグリップ重量を測定した画像です。メーカーはグリップ重量を想定50gでクラブを組み上げますがユーザー様の要望によりミズノではさまざまなグリップ装着が出来ます。そのグリップにはそれぞれ個体差もあれば重量誤差もあります。その重量誤差を埋める為にシャフト内重量物を必要とします。
【50.9g】 【50.6g】 【47.4g】 【49.8g】

グリップに個体差があればシャフトにも個体差があるのは当然!ミズノが言うには「シャフトのバランスポイントに結構バラツキがあります」バランスポイント?とはいったいどのようなことなのか?
シャフトには、バランスポイントと言われるバランスの中心があります。このバランスポイントが常に一定であるからこそヘッド重量とグリップ重量から想定バランスを計算出来ます。このバランスポイントがバット側やティップ側に“ズレ”ることによって想定しているバランスが出ないことがあります。このバランスのズレをシャフト内重量物で補うことが出来るのです。

非常に軽いシャフトを挿した時やシャフトを短くして重いバランスでの希望を頂いた時などはもちろんシャフト内重量物の出番です。MPアイアンには3タイプのヘッドバージョンを常に持っていますがこれらヘッドでは重量が足らない時にはシャフト内重量物でバランスを補います。


MPアイアンでは、〜3gまでの重量物が入る可能性がありますが通常私が知っている範囲では、樹脂製の重量物以外の金属性の重量物が入っているのも目撃したことはありません。
最初は、MPアイアンには0.1gも重量物が入っていないと信じていましたが上記理由により“0.5g単位”でクラブ製作しているミズノにはかえって驚きました。確かに重量物を何も入れないでキッチリ製作することが良いのは分かっていますが限界点もあることもこの検証コラムでハッキリしました。
弊社オンラインショップでは上記重量物を一切入れないでの製作も出来ますが“完璧”も難しいこともご理解出来たと思います。でも0.5g単位での調整をしているミズノは“さすが”ですね!
メルサオンラインショップ:長屋 達忠

画面上へ
ホーム 会社概要 特定商取引 プライバシーポリシー Q&Aトップ
本サイト情報の無断転載を禁じます。
Copyright(C)Allrights Reserved 2005 melsa Co, Ltd